めんどくさい研究所

2017/7/5 update
MEETING REPORT #2
第2回 研究レポート「会議のための、会議ってめんどくさい」
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2017年6月5日、第2回目となるめんどくさい研究所クラッシュミーティングを東京都内のミーティングスペースにて開催しました。
5月30日から1週間、テーマ「会議のための、会議ってめんどくさい」をオンライン上でディスカッション。今回からは特別研究員の木暮太一氏にも参加していただき、参加者が日々感じている「めんどくささ」のなかから課題を抽出し、オフラインで解決策を追求しました。
  • 事前に会議を行わないと、本会議が進展しない?
     特別研究員である木暮太一氏が初参加となった第2回目は、テーマリクエストルームで交わされた意見のなかから「会議のための、会議ってめんどくさい」という議題を選出。テーマルームでオンラインミーティングを行った。
     その際、研究員からは「参加者の当事者意識が欠如した会議」や「下打ち合わせを軽視した会議」、または「目的性が欠如した会議」など様々なエピソードが挙げられた。
     このようなテーマルームでのエピソードを受けて、クラッシュミーティングでは、まず参加者の自己紹介を行った後、めんどくさいと感じる会議の問題点をおさらい。その問題のコアとも言うべき、「なぜ、会議を開くために、別の会議を行う必要があるのか」の認識を共有した。すると、まず参加者のなかから「事前に会議を行わないと、本会議が進展のない内容になってしまうため」という意見が。さらに、会議に進展が生まれない理由としては「本会議には目的意識が低い参加者が多い」という声が集まった。
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  • 「何をする会議か」「自分はどの役割か」を明確化する
     そこで、まず「なぜ、会議がめんどくさくなるのか」を考えたところ、木暮氏が自身の社員時代の経験を振り返りながら、「その場にいる意味がない人が、やること(その場にいる意味)を探し始めるからではないか」と意見。そのような会議は無駄が多い上、実施する必要もない可能性が高いと説明した。
     さらに、「そもそも、何かを決断する必要があるなら少人数で行うべきであるし、アイデアを出すためなら“会議”ではなく“ブレスト”を行うべき。“会議”という言葉は普段何気なく使われることが多いが、開催する前にまず『何をする会議なのか』を明確にするべきではないかではないか」と話した。
     また、「クライアントから『会議を開く』と言われても、あまり参加しない」という木暮氏。「会議を行う際に重要なのは、その中で自分がどのような役を務めるべきなのかを明確にすること。その役がわからなければ、会議を行う案件の改善ができないため、無駄が多くなってしまう。会議は裁判と一緒で、何かを決定するなら物事の決断を行う“裁判官”としての役割が、情報を集めて判断材料を作るなら“証人”としての役割が必要になってくる。しかし、声をかけられる会議のほとんどは、そのような役割が不明確なことが多い」と説明した。
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  • 知らなくていいことは、知らなくて良い
     その後、司会者から「ベストな会議とは、どういうものなのか」という議題が。その問いに対して、木暮氏は以前勤務していたサイバーエージェントの代表取締役社長・藤田晋氏の会議を挙げた。その理由は「ほとんど資料がいらなかったから」。
     一般的に会議資料というのは、自分が担当する役割とは関係ない情報が掲載されていることが大半だろう。しかし、それぞれの役割を全うすることを重要視する社風を持つサイバーエージェントでは、「知らなくていいことは、知らないで良い」という傾向が強かったため、その結果「資料はいらない」ということになっていたのだという。
     木暮氏は前述の会議中の自分の役割を理解することと、藤田氏とのエピソードを踏まえ、「『会議では自分の役割を全うすることを第一に考え、不必要なことには手を出さないようにする』ことが重要なのではないか」と語った。
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  • 「自分が何を求められているのか」を確認する
     ディスカッションの後半のテーマは、前半の話のなかから木暮氏が取り上げためんどくさい会議を解消するための3つのヒント「それぞれが会議に臨む前に自分(と、その周り)の役割分担を認識する(させる)」「会議の主題(決議なのか、ブレストなのか、それとも共有なのか)についての認識をしておく(させる)」「知らなくてもいい情報はいらない」をピックアップ。このようなヒントについて、参加者たちが実際に職場で実行できるのかどうかを話し合った。
     参加者からは、「今の職場では、役割分担をあらかじめ決めて臨むのは難しい」「それぞれの会議参加者の立場をどれだけ明確にできるかは、主催者の技量によるのではないか」という意見が挙がったが、その対策として、木暮氏は「いきなり大きなことから始めるのではなく、自分ができる小さなところから変えていくことが大切」と助言。「例えば、まずは自分自身の役割をしっかり理解する。そのことが明確になった上で、上司に『自分が必要なのか』を確認してみる。自分がその場で何を求められているのかを聞くことは非常に大切なので、そこに恐れを感じる必要はない」と説明した。
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  • 柔らかく伝えるフレーズを用意しよう!
     最後に、参加者に今回の議論の感想を尋ねたところ、「裁判の話はすごく使える。社内ですぐに試したい」「次回の会議には、それぞれの役割表を作って持って行こうと思った」「僕はどうしても周りに気を使って意見が言えないことがあるので、まずは自分の役割を明確にすることから始めたい」というコメントが。
     木暮氏は、それらを実行する際の追加のヒントとして、「とはいえ、社内で『自分の役割はこうだ』『役割が違うから会議には出ない』と口にするのは角が立つことも。それらを周りに柔らかく伝えるフレーズを考えておくことも重要かもしれない」と締めくくった。
text : Takuo Shibasaki
2017年7月5日更新