めんどくさい研究所

2017/7/13 update
MEETING REPORT #3
第3回 研究レポート「社内調整ってめんどくさい」
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2017年6月16日、第3回目となるめんどくさい研究所クラッシュミーティングを東京都内のミーティングスペースにて開催しました。今回は、6 月8 日から1週間にかけてテーマ「社内調整ってめんどくさい」をオンライン上でディスカッション。社内の様々な状況から発生する「社内調整」について、それぞれのシーンでの課題を抽出しながら、オフラインで回避方法や対策を追求しました。
  • 社内調整は、状況や対象者によって意味が大きく異なる
     第3回目となる今回は、テーマリクエストルームで交わされた意見のなかから「社内調整ってめんどくさい」という議題を選出。テーマルームでの議論を通じて、その解決法を模索した。
     まず、今回の「社内調整」というテーマは、テーマルームで交わされた研究員のコメントによると、「制作の現場で、制作者側と営業側との意識のズレが生じるために必要」「各部長陣の仲が悪いため、案件の優先順位を考える際に不可欠」「上司、もしくはクライアントとの打ち合わせの調整のため」など、社内の状況や対象者によって意味合いが大きく異なることがわかった。そのため、ディスカッションの前段では、各研究員から改めて「どのような場において社内調整が必要なのか」をヒアリング。それぞれのエピソードのなかで共通していた「社内での他部署、もしくは上司との調整のめんどくささ」に議題のテーマを絞った。
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  • 「意見調整」と「感情調整」、どちらを行うべきか
     このような社内調整の問題について、特別研究員の木暮太一氏は2つの側面があると指摘。ひとつの側面は「物事を決定する際の社内の意見調整」。もうひとつは、「参加者の感情の調整」だと説明した。
    「この手の問題は、『そんな話は前もって聞いていない。だから反対だ』といような感情の問題が多い。感情の話がでてきてしまうと、どんな話でも一筋縄にいかなくなってしまう。そのため、例えば社内での打ち合わせなど意見交換が必要な際は、まず感情論はいったん脇に置き、早急に物事を決定する必要があることを他の参加者に促す方が良い」と説明した。
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  • コミュニケーションや、課題整理も重要
     一方で、研究員たちが常日頃行っているめんどくさい社内調整を回避する方法についても活発な意見が生まれた。その際、「お互いが歩み寄れなさそうな場合は、相手が思いつきそうなパターンの資料をすべて用意しておく」「意見を通しやすい環境を作るために、普段から上司やクライアントと密なコミュニケーションを取っておく」など、いざというときのための歩み寄りを行っているという話が多く聞かれた。
     ただし、このような回避方法は、参加者の大半が言いたい放題の状況に陥った際や、普段のコミュニケーションがうまくっていない場合は、有効ではないケースも。そのような場合は、「まず、原点に立ち戻り、目的の整理からはじめる」「お互いの見えていない視点を客観的に理解し、きちんと説明していく」ことが重要なのではないかという意見が交わされた。
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  • 調整力のあるプロデューサーであれ
     さて、このような研究員たちの回避方法をより効果的にするアドバイスとして、木暮氏からは「果たして、本当に社内調整はめんどうなだけなのか。その前提をひっくり返して考えてみるのも重要」という意見が挙がった。
    「例えば、プロデューサーというのは、社内調整のめんどくさい部分を逆手に取って力を発揮する存在。そもそもプロデューサーは、『自分は四番打者だ』と言っている人に対して、『いや、あなたの実力だと二番打者のポジションのほうが合っている』と言い渡すのが仕事。そのような調整がうまいプロデューサーがいれば、その組織の戦闘力は数段レベルアップすることができる。そう考えると、誰もが嫌がるような社内調整ができるようになれば、その人はそれだけで周囲から重宝される存在になれるのではないか」
     その際に、気をつけなければならないのが「プレイングマネージャーになってしまう」こと。プロデューサーになった際は、片手間で物事を動かすような中途半端なことはしてはいけない。あくまでも自分の仕事に徹し、役割以上のことをしないようにするべき、と木暮氏は説明を加えた。

     その対策として、木暮氏は「まずは、自分自身の役割を理解し、その上で上司に『自分が必要なのか』を確認してみる」ことを助言。「自分がその場で何を求められているのかを聞くことは非常に大切なので、そこに恐れを感じる必要はない」と話した。
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  • めんどくさい瞬間にこそ、仕事のヒントが
     最後に、これらのアドバイスに対して、研究員からは「めんどくさい瞬間が、実は考える瞬間だと思えるようなれた」「自分の立場をまず見極めて、必要だったら自分がプロデューサーになる。そうでない場合は、上司に『プロデューサーを用意してほしい』いうようにしたい」という感想が。
     社内調整というものは、確かにネガティブな要素として捉われがちである。しかし、その一方で、仕事の多くの課題がそこに詰まっているのも事実だろう。その意味において、めんどくささを味方につけ、課題を解決するプロデューサーになるという提案は、研究員にとって非常に多くの実りがあったように感じた。
text : Takuo Shibasaki
2017年7月13日更新